夢の断片

 雪の止まない極寒の北欧で、雪崩が過ぎ去るのを待ちつつ自動販売機で飲料を買っている。都合のよいことに、自分が飲みたいと思っていたホットティー、欧米産のものだが、それは日本円で買うことができ、他のものはユーロでしか通用しない。おつりはご丁寧に一円単位で返ってくる。

 流れが過ぎ去り、天候が落ち着いてきた頃合いに、村田先輩始め、有田さん、長谷川さんといった、03年次生の先輩たちとドライブに行くことになった。前者二人は1年の頃からの顔なじみ。ここは妥当といっていいところなのだが、長谷川先輩に関しては、研究室の助手、ふじこさんの誕生日に初めて会って以来、全くコンタクトがない。エニュウェイ、この三人でドライブに。

 たいてい、ドライバーは村田先輩と相場が決まっているのだが、今回は有田さんが運転手席に座った。これまた都合がいいことに、右側に運転手の席。さっそくエンジンをかけ、エンジンをかけるや否や、サーキットの狼。ハンドルを握ると人格が変わる性質なのか。普段は温厚な有田さんが、みな驚嘆を禁じえぬドライブテクニックで北欧の凍てついた街道を疾走。ドラフトなのか、スリップしているのか、ひたすらタイヤを走らせる。滑らせる。

 運転手の席は右座席なのだが、車は日本の反対。つまり右側走行。かと思いきや、今度は左側走行。対向車が正面衝突線とばかりに突っ込んでくる。シューティングゲームよろしく、右に左に避けるよけるの要領で前進。右折するときに、めちゃくちゃ急な坂にさしかかった。有田さんは目いっぱいアクセルを踏んで右折。が、凍った路面に負けてみるみる車が後退していった。